【糸島市】糸島そうめんちり「100年フード」認定

郷土の味を次世代へ

 糸島の郷土料理「糸島そうめんちり」が、文化庁が進める食文化継承の取り組み「100年フード」で、2025年度の「伝統の100年フード部門(江戸時代から続く郷土の料理)」に認定された。ハレの日のごちそうとして親しまれてきたそうめんちりが、未来に残すべき食文化として改めて認められた。

 「100年フード」は、地域の自然や歴史の中で育まれ、世代を超えて受け継がれてきた食文化を文化庁が認定する取り組み。これまでに全国で300件以上、福岡県では12件が認定されている。

 そうめんちりは、主に怡土や雷山などの中山間地域の暮らしの中で育まれた料理。盆や正月の来客時、神社の行事、農作業の合間など、人が集まる場には欠かせないごちそうで、「なーんていや(どんな時でも)そうめんちり」と言われるほど地域に根付いてきた。

 かつては多くの家庭で鶏を飼い、来客時には鶏をさばいて刺身や煮物でもてなした。そうめんちりは、その際に残った鶏ガラや肉を余すことなく使い、甘辛いだしで季節の野菜を煮込み、そうめんにかけて食べるのが特徴。砂糖やしょうゆ、そうめんが貴重だった時代に、それらを惜しみなく使う料理は、人をもてなす「おふるまい」の象徴でもあった。

 今回の認定は、糸島郷土料理研究会(弥冨明子代表)による調査と継承活動が評価されたもの。そうめんちりは味付けや具材が地域や家庭ごとに異なり、独自の形で受け継がれてきたが、近年は家庭で作る機会が減り、作り方を知らない人も増えている。こうした状況を受け、同会は郷土料理を次世代へ伝えようと、2024年に711人を対象に聞き取りやアンケートを実施。その結果、少なくとも明治30年代に家庭で代々受け継がれていたとみられることから、江戸時代には食べられていたと分かり、100年以上続く食文化であることの裏付けを得た。地域で受け継がれてきた歴史と、今後へつなごうとする取り組みの両面が、今年2月の認定につながった。

 3月25日には、同会メンバーが月形祐二市長を訪ねて認定を報告し、そうめんちりの試食も行った。糸島で生まれ育った月形市長は「当時は僕たちにとっても、お客さんが来た時にしか食べられないごちそうだった」と懐かしみ、「この味は次世代に糸島の味として残したい」と語った。

月形市長に報告をした「糸島郷土料理研究会」のメンバーたち

 同会のメンバーは「糸島への郷土愛が原動力」と笑顔を見せる。今後は子ども向けの料理教室やイベントでの普及活動に力を入れ、「そうめんちりを糸島のソウルフードとして広く知ってもらいたい」と意気込む。地域に根付く味と「ふるまいの心」を次世代へとつなぐ取り組みが、さらに広がりを見せそうだ。

糸島新聞社ホームページに地域情報満載)

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