西日本新聞セレクトモール
アーティスト、大川博さんによる本紙の風景画連載「糸島八景」で、「夫婦岩八相(めおといわはっそう)」をテーマにした作品販売が西日本新聞セレクトモールで行われている。インターネットで通販が楽しめるショッピングモールで、電話でも受け付けている。

電子ペンで描いたデジタルペインティング。今回は、8枚の連作。
デジタルペインティングをリトグラフ風に仕上げて額装。
100枚限定でエディションナンバーをつけ、落款を押している。
《価格(税込)》
1枚(額装)送料込み …1万2千円
4枚セット(額装は1枚のみ)…3万5千円
8枚セット(同) …6万4千円
ご購入の申し込み
西日本新聞セレクトモール
電話 092(558)8127(平日午前10時~午後5時)
※電話によるお申し込みは28日以降
URL セレクトモールのウェブ
夫婦岩八相(めおといわはっそう)
大陸へと続く玄界灘に、二つの夫婦岩が対をなして浮かぶ。
男岩と女岩。空と海。実景とその反映。
それは世俗と聖域を分かつ結界であり、此岸と彼岸を結ぶ縁(よすが)でもある。
岩はイザナギ・イザナミの依り代となり、春の風とともに注連縄が渡され、人々の祈りを繋ぎとめる。
夫婦岩を軸として、光は移ろい、世界は刻々とその相を転じる。
本作は、八つの相を通して、一即多、多即一の宇宙を描き出す試みである。
第1相「夫婦岩霞照(かしょう)」

夜と朝のあわいに、まだ時はほどけきらず、
色を持たぬ世界は、霞のなかに淡い気を孕む。
寄り添う二つの影は、ひそやかに気配を宿し、
海はその像を慈しむように抱きとめる。
世界は、まだ名を持たぬまま、ひそかに兆している。
第2相「夫婦岩黎明(れいめい)」

太陽が昇らんとするその刹那、
空は祝うかのごとく、ほのかにバラ色へとひらき、
夫婦岩は光を待つ身となり、あいだに息を通わせ、
海はその姿をかすかに映して、揺らぎを受けとめ、
世界は、静かに呼吸をしはじめる。
第3相「夫婦岩晴嵐(せいらん)」

時はすでに明るくひらけ、
蒼天には翠気ほのかにめぐり、
男岩と女岩は注連縄にて結ばれ、静かに向き合い、
鏡のごとき海面は、その姿を澄んで映し、
世界は、ただ在ることのよろこびとして広がっている。
第4相「夫婦岩曇翳(どんえい)」

玄界灘の気象は、きまぐれに移ろい、
天は雲に覆われ、ひかりは奥へと退き、
夫婦岩は淡い明るさを内に抱え、ひそやかに向かい合い、
海はその姿を揺らして、かすかな翳りを映し、世界は、深みへと沈みながら、内なる声をたたえはじめる。
第5相「夫婦岩驟雨(しゅうう)」

世界は昏く閉ざされ、激しい雨に覆われ、
驟雨のなか、耳に満ちるは風のうなりと雨打つ音のみ、
夫婦岩は打たれながらも、変わらぬ姿に静かな強さを宿し、
海はその像を砕きつつ受けとめ、波紋のうちに形を散らし、
すべてを洗い浄めながら、かたちをほどいてゆく。
第6相「夫婦岩光芒(こうぼう)」

雲の切れ間から、一筋の光さすとき、
天は裂けて、陰と陽とをあらわにし、
夫婦岩はその光を受けて、静かに輪郭を取り戻し、
海はその像をかがやきとして映し、奥行きをたたえ、
世界は、再び見えるものとして、ひそやかに立ち現れる。
第7相「夫婦岩夕照(せきしょう)」

太陽が西に沈みゆき、昼と夜のあわいを迎えるとき、
空は茜色から紫紺へと移る。
夫婦岩は影となり、寄り添うかたちを深め、
海はその姿をあたたかく映し、ひと日の余韻を抱き、
世界は、すべてを抱きしめながら、静かに閉じてゆく。
第8相「夫婦岩月照(げっしょう)」

碧い帳がおりるとき、時はしずかに澄みわたり、
月光は白くやわらかに降りそそぎ、
夫婦岩はその光を受けて、永い契りのかたちを浮かべ、
海は鏡面となりて、天の静寂をそのままに映し取る。
世界は、名も、色も、音もなく、ただ「一」として在りつづける。
