《いとしま旬百景》山茶花散り積もり

西行返り

 山茶花の貝の如くに散りにけり(山口青邨)

 山茶花(さざんか)と椿(つばき)はよく似ているが、散り方に大きな違いがある。椿は花首から落ちるが、山茶花は1枚ずつ離れて散っていく。無数の貝殻のように、花びらが散り積もるさまは、樹上で咲き誇る花と対比され、一味違った風情がある。

 撮影場所は糸島市の雷山千如寺へと続く道沿いで、「西行返り」と彫られた石碑の近く。諸国を行脚した平安末期・鎌倉初期の歌人、西行法師にまつわる伝説があり、花びらの道を歩む旅の僧の姿が思い浮かぶ。(写真家・西松宏撮影)

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