カミキリムシ/幼虫が幹や枝を食害

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ゴマダラカミキリムシ

【ドクター古藤の園芸塾】 3

ゴマダラカミキリムシ

 レモンやユズ、イチジクなどの果樹類や、モミジやユーカリなどのシンプルな立木、花木栽培を楽しまれる方が増えています。
 庭があまり広くないから「1本の木を大切に育てたい」「思い出の記念木にしたい」など大切に育てたいという気持ちが良く伝わります。
 ところが、近年、その大切な果樹、花木を枯らしてしまう、厄介者の害虫が問題となっています。カミキリムシ類の幼虫で、幹や枝の中を食害することから、通称 「テッポウムシ」 と呼ばれ、樹木にとっては、手ごわい害虫です。
 生態は、広葉樹など1~2年にわたり、幹の中をトンネル状に食害し、外皮の穴から木くずや虫フンを排出します。被害を受けると、生育が衰え、最後は枯れてしまいます。
 テッポウムシは体長が25ミリ前後で、6月頃、カミキリムシの成虫が幹の表面にかみ傷をつけ産卵します。ふ化した幼虫、つまりテッポウムシは8~11月に樹木が地面に接する部分付近の樹皮下を食べながら成長します。その後、樹木の中で冬を越してさなぎとなり、5~6月頃羽化し、樹木の中から成虫となって出てきます。


 万が一、株元に木クズが発見されたら「長い針金を穴に突っ込み、先端が届くまでゴシゴシと突いて捕殺する」。その後、園芸用スプレータイプの専用殺虫剤を噴射すると一定の駆除効果が得られます。また、被害にあった樹木は、生気を失い早急に回復させる必要があるので、速効的な肥料効果を発揮する液体肥料の潅水(かんすい)を行なってください。おすすめはJA糸島オリジナル有機液肥「エコアース」を300倍に希釈(キャップ一杯2リットルの水)し、10日に1回の割合で与えるとよいでしょう。


 被害にあいにくい有機的な予防は、5~6月の産卵期に地際の幹回り全体(地表面から30センチの高さまで)にアルミホイルを巻いておくと、成虫が産卵できません。
 私たちが幼少の頃は、カミキリムシはカブトムシ同様、かわいい昆虫の一つでした。腐葉土などを餌にしていたカミキリムシでしたが、近年は、高齢化により放置された果樹園や山林が増えたのが被害拡大の原因といわれています。海岸では松枯れの原因を引き起こす、マツノマダラカミキリが急増し、美しい青松に異変が起こっています。
 気候変動や社会構造、環境変化などと、生態系のバランスは密接な関係があるようです。糸島の美しい自然界をどのように守っていくのか、問われているようです。

(JA糸島経済部部長補佐、アグリマネージャー 古藤俊二)糸島新聞・2022年12月2日付

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この記事を書いた人

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