【声の野鳥だより】18

中国から輸入され適応/コジュケイ

野鳥愛好家の國友靖彦さん撮影

 キジ目キジ科で体長28~33センチで、雄のほうが大きい。キジの仲間ではありますが、前回、前々回で紹介したキジやヤマドリのように、尾羽根が長くはありません。


 およそ100年前に中国から移入され、狩猟鳥として関東地方に放鳥されたものが、わが国の自然環境に適応して本州から九州の低い山地に増えました。わが国の山野に適応できたのは、その食性が強い雑食性であることが大きな要因だと考えられます。木の実や草の種子、昆虫など何でも食べます。


 「チョットコイ、チョットコイ」の鳴き声は知る人が多いと思いますが、春先からの繁殖期で雄がこの「チョットコイ」を歌い始めると、3回目ぐらいで雌が一緒になって鳴き始めます。この時の雌の鳴き声が雄の声に完全にシンクロするのがすごいところです。ぼんやりと聞いていると1羽で鳴いているように聞こえるほど完璧に同調して鳴くのです。「チョットコイ」と鳴きはじめる前に「コココ…」や「ピョー」という声を出してから「チョットコイ」が始まることもあります。


 里山では最近はイノシシが増えて農業被害が深刻ですが、今回ご紹介したコジュケイやキジなどの地上性の野鳥もイノシシのために数がなかなか増えないことがかわいそうなところです。もともと外来種ではありますが、梅が散って桜の季節になる頃、「チョツトコイ、チョットコイ」と高い声が里山に響き渡るのは、どこか日本の原風景のような懐かしさを感じさせてくれます。 (野鳥録音家)

コジュケイの鳴き声


 (野鳥録音家・田中良介)

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この記事を書いた人

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