【声の野鳥だより】20

華麗で複雑な唄の歌い手/キアシシギ

野鳥愛好家の國友靖彦さん撮影

 チドリ目シギ科で体長25センチ。典型的なシギの特徴を持った体形と色をしていますが、前回紹介したアオアシシギよりやや小さく、体色はやや濃い。名前の通り足の色が黄色いのでこの名がついたようです。


 アオアシシギも聞きやすいよく通る声で鳴きますが、キアシシギはもう少し高い声でとても複雑なメロディーを歌います。入り江や干潟で見かけることはありますが、この鳥は外海近くの岩場の多い海岸に少数(10羽前後)の群れでいることが多いように思います。


 私が彼らの歌を録音したのは芥屋の外海に面したうら暖かい春の海岸でした。海は静かでしたが、それでも軽く打ち寄せる波の音の間に、美しい声で多彩なさえずりを聞かせてくれました。


 時折沖合を通る漁船のエンジン音もよい背景音となって、海と鳥が奏でる一曲の描写音楽のようで、今もその時の録音を、イージーリスニング音楽を聞くような心地よい気分で聞きます。目を閉じて聞くとあの時の穏やかな春の海の光景が頭の中に浮かんできます。


 春に北部九州の沿岸で長旅の疲れを取った後、キアシシギたちは遠くシベリアに点々と存在する繁殖地に向かって旅立っていきます。 (野鳥録音家)

キアシシギの鳴き声


 (野鳥録音家・田中良介)

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この記事を書いた人

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