【声の野鳥だより】34

繁殖と托卵の相手探し/カッコウ

野鳥愛好家の國友靖彦さん撮影

 カッコウ目カッコウ科で、体長35センチ。その名の通り「カッコウ、カッコウ」と鳴く夏鳥です。目にも爽やかな新緑の頃、少し高い山の中腹(4~7合目)辺りの開けた林や草原でこの鳴き声が聞こえます。

 その時期は、他の野鳥たちがいっせいに繁殖期を迎える頃で、ほかの小鳥の巣に卵を産みつけ、他人に子育てをさせる繁殖方法の托卵をするカッコウも、托卵の相手を探すのに忙しい季節です。その前に、雄はまずは自らの繁殖相手の雌を確保するために「カッコウ、カッコウ」と盛んに鳴くわけです。

 ところで、野鳥の名前の多くは、その鳴き声が由来となっていることが多く、カッコウはその代表のひとつでしょう。しかし、「カッコウ」と鳴くから「カッコウ」では、あまりにも単純で芸がないと私は常々思っています。カッコウの漢字表記は中国語がもとになったと言われる「郭公」。動植物名の学術的な表記はカタカナを使用しますが、せめてカッコウだけは、漢字表記の「郭公」を使って表記に変化をつけたいのですが、そう考えるのは私だけかもしれませんね。

 カッコウの鳴き声をよくよく聞いてみると「パッポー」や「ファッポー」と聞こえることがあります。人をあまり怖がらないのでカッコウが鳴いている背の高い木の真下まで行って声を聞くことができます。

 親しみやすい鳴き声で、誰もが知っているカッコウ。しかし、考えようによってはとても残酷な托卵という繁殖方法を進化の過程で獲得し、その親しみやすさとまったくそぐわない一面を見せています。

カッコウの鳴き声

 (野鳥録音家・田中良介)

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