台湾人夫妻アジア文化発信

雑貨販売や地元で演奏会も

 アジア圏の文化交流に貢献したいと糸島市の志摩桜井で「三米(みっつこめ)文化商店」を営む台湾人夫妻がいる。呉伊婷(ウー・イーティン)さん(42)邱垂龍(チウ・スイリュウ)さん(41)。同店では、台湾茶を中心に、アジア雑貨などの販売や、映像制作を手掛ける。「台湾ではお茶は暮らしの必需品。決まった作法も入れ方もなく、気軽に楽しむもの」。さまざまな味や香りがある台湾茶の魅力を伝えるため、台湾から取り寄せたお茶を独自にブレンドし、気軽に楽しめるようドリップバッグで販売する。

民家を改装した三米文化商店店舗。呉さん(右)と邱さん(左)

 数千年前にアジア各地に広がった稲作。「日本の米、台湾の米、アジアの米」から「三米」と名付け、「アジアの文化を日本に広めお互いの理解を深めたい」との思いを店名に込めた。

 福岡との出合いはそれぞれ。台湾で女優をしていた呉さんは、主演した映画「山猪温泉」(2014・台湾)が福岡国際映画祭の公式招待作品となったのをきっかけに、舞台あいさつのため初めて福岡を訪れた。大学で映像制作の教壇に立っていた邱さんはその2年後、撮影で糸島に40日間滞在する機会があった。都会暮らしだった2人は「自然の中で生きることを考え、移住先を探していた」折、糸島の自然が気に入り、4歳の娘を連れての移住を決めた。山付きで購入した民家の裏山には「映画のタイトルにあるイノシシが闊歩(かっぽ)する」と呉さんは巡り合わせににっこりと笑う。

 地元の小学校に通う娘を介して、地域の子ども会活動やスポーツチームなどに積極的に関わり、「文化とは敷居の高いものでなく、地域に根差した暮らしのこと」と日本語と中国語で日々の暮らしをSNSでも発信する。

 同店と道を挟んで隣り合わせにある「糸島手造り工房爽風」のレンゲや青い麦の穂に囲まれた爽風ガーデンで14日、鳥のさえずりをBGMにスプリングコンサートが開かれた。2店舗が春と秋の年2回開催するガーデンコンサートで、今回は3回目。爽風の親子バンド「ふき×おとのき」などが歌い、台湾茶がコンサートに花を添えた。

爽風の親子バンドと呉さん(中央)。コンサートのお客さんに台湾について紹介した

 「文化が理解できないと誤解が生まれ衝突が起きる。お互いの文化を知るきっかけを作り、アジアや世界の平和につなげたい」。流ちょうな日本語で話す2人は「ちょっと大きな夢だけれど」とはにかんだ笑顔を見せた。

三米文化商店
住所:糸島市志摩桜井2048-1
OPEN:金、土、日 10:00~17:00
TEL:080-8477-9892

bunka@gmail.com

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この記事を書いた人

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