【糸島市】ドクター古藤の園芸塾Vol.113(3/21号掲載)

ドクター古藤アイキャッチ

プランター栽培の土づくり

 先週は、春夏野菜栽培に向けた、菜園など露地栽培の土づくりをご紹介いたしました。露地栽培でも、プランター栽培であっても、たくましく育ってくれる作物管理には、土づくりは欠かせません。ただし、プランター栽培は露地栽培と少し条件が違いますね。わかりやすいように長所短所で分けてみました。

◎長所

▼身近な場所で栽培ができる。例えば、マンションのベランダや戸建ての庭先など
▼強い雨風、または強い日差しなどの時は、容器ごと場所移動が可能
▼コンパクトな栽培で、こまめな栽培管理ができる。

◎短所

▼限られた容器スペースであるため、土の量が制限され根の生育などが抑制されやすい
▼水やりや降雨によって、土壌養分が流れ出てしまう
▼栽培する作物の品目が限定される。例えば、キャベツやブロッコリ-などは広い面積が必要▼乾燥傾向だと、土が乾きやすい(保水性が低い)
▼背丈が高くなる野菜、例えばトマトやキュウリなどは別途補強資材が必要。

 まだ、たくさん一長一短あるのでしょうが、特に注意していただきたいポイントを挙げました。

 プランター栽培で特に重要な要素を持つ土。JAやホームセンター、園芸店などで「草花・野菜のプランターの土」として、元肥入りやトマト専用の土など多種多様で、いろんな種類の培養土が販売されています。

 プランター栽培用の培養土の基本要素は「中粒赤玉土」60%、「腐葉土」30%、「バーミキユライト」10%の配合が基軸で、ほぼ培養土はこの3要素の素材構成で製造されています。

 赤玉土は通気性や排水性、保水性のバランスに優れ、肥料成分を含んでいないため、虫や菌が寄りつかない清潔な土であり、粒の大きさにより大粒・中粒・小粒・極小粒・細粒などに分かれて販売されています。

培養土の機能で中心的役割をする赤玉土

 腐葉土は、広葉樹などの落ち葉が堆積して発酵した土壌改良材です。肥料分は少ないですが、通気性や保水性を高めたり、土をフカフカにしたりする効果があります。バーミキュライトは保水性と排水性のバランスが良く、軽くて無菌。通気性があります。

培養土の微生物活性や保水性を高める腐葉土
培養土の通気性や排水性を高める無菌で
重要な要素「バーミキュライト」

 排水性を特に好むトマトは、上記の構成に石灰と有機肥料を土の量1リットルに対し各2グラム、例えばプランターに30リットルの土の容量(容器に記載)が必要であれば、石灰と有機肥料各60グラムを土に混ぜ、苗を植え込んでください。また、養水分を特に好むナスやピーマンは3要素に加え、天然繊維質のピートモスを10%加えると地保水が向上します。

 園芸の楽しみ方は実に多種多様。プランターを使った野菜栽培は、身近な場所で葉茎が成長し、花や実が付き、実の色が変化し太る姿は実に楽しいし、収穫の喜びに加え、何より元気をいただきます。今年のプランター野菜作りは、市販培養土もいいですけど、手づくり培養土で栽培をしてみませんか。失敗は次への肥やし。自分で改善を加えるアイデアも生まれます。もっと野菜の成長がかわいく見えてくるでしょう。

(シンジェンタジャパン・アグロエコシステムテクニカルマネジャー 古藤俊二)

糸島新聞ホームページに地域密着情報満載

※糸島新聞紙面で、最新の連載記事を掲載しています。

古藤 俊二さん
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

1917(大正6)年の創刊以来、郷土の皆様とともに歩み続ける地域に密着したニュースを発信しています。

目次