【糸島市】“九大生が聞く!!ビジネス最前線 in糸島” 業界のトップシェアを誇る

空調技研工業㊤ 代表取締役 占部幹彦さん(69)

 このコーナーは、九州大学のインターン生が糸島エリアで活動している企業や団体を取材し、その魅力を紹介します。今回は、芸術工学研究院修士課程の北垣玲音が、ビルやさまざまな施設の冷暖房や換気、防災に使われる空調用吹出口で国内のトップシェアを誇る空調技研工業株式会社占部幹彦社長(69)を訪ね、永続的に成長する収益力を備え、創造的、革新的な活力ある技術集団を目指している会社経営について、お話をうかがいました。

工場内を案内する占部幹彦社長

 -大学で勉強しているときもそうですが、快適な空調環境はとても大切だと思います。より新鮮で、より良い空気を提供できるように、吹出口・吸込口や、空気の流量をコントロールする風量調整のダンパー・防火用の防火・防排煙ダンパー、設定した風量になるよう自動調節ができるVAV(可変風量制御装置)の三つを主力製品にされているとうかがいました。これらの製品は、どのように使用されているのでしょうか。

 「当社では、ビルなどの大型施設向けに空調機器を提供しています。主力の3製品は、オフィスなのか、店舗なのか、エントランスなのかといった施設の用途に合わせ、空調環境を維持するために使われています。例えば、天井の高い映画館やコンサートホールに空調設備を導入する場合、ホール全体に一様に空気を送る必要はなく、人がいる場所に快適な空気を届けることが重要です。そのため、座席の下から空気を供給できる床吹出口を設計し、納品しています。こうしたお客様のさまざまなニーズにお応えする製品づくりをしています」

 -具体的に導入されている施設を教えてください。

 「福岡では、九州大学や、みずほペイペイドーム、キャナルシティ博多などで採用されています。全国的には、国立競技場や東京スカイツリー、横浜ランドマークタワー、あべのハルカス、エスコンフィールド北海道などで、当社の製品を使っていただいています」

 -日本を代表する施設に、糸島で生産された製品が納入され、誇りに感じています。全国での製品ごとのシェア率を教えてください。

 「すべての製品で正確なデータは難しい部分もありますが、概算では、吹出口・吸込口は全国シェア約40%でナンバーワン。ダンパーは約25%で昨年トップに立ちました。VAVは20~25%で、全国で2位か3位です。地域別に見ると、関東方面への出荷が約40%で最も多く、次いで関西が約15%、残りはその他の地域となっています」

 -ビル向けの空調機器は、防災面でもとても重要な役割を果たしているそうですね。大型施設で火災が起きた時、どのようにして被害を最小限に食い止めるのでしょうか。

 「火災時は、炎だけでなく、煙に巻かれて一酸化炭素中毒となり、命を落とす危険があります。そのため、ビルでの火災に備え、煙を適切に排出するための仕組みが必要です。防排煙機能を備えた空調機器の開発により、火災時の安全性を高める取り組みを行っています」

空調技研工業株式会社の工場

 次回は、顧客満足度が高い高品質な製品づくりを可能にしている全社員に息づくチャレンジ精神について深掘りしていきます。

メモ》 
 糸島市志摩小富士968
 従業員数 372人
 事業内容 冷暖房用諸器具、防災機器の設計・製作・販売。

糸島新聞社ホームページに地域情報満載)

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この記事を書いた人

1917(大正6)年の創刊以来、郷土の皆様とともに歩み続ける地域に密着したニュースを発信しています。

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