【糸島市】《糸島新聞連載コラム まち角》なじみ深い熱帯原産野菜

まち角アイキャッチ

ゴーヤーがおいしい季節になった。今では、とてもなじみ深い野菜だが、思い返すと、初めて食べたのは30年ほど前のこと。鹿児島県・奄美大島に知人を訪ねていったとき、島の居酒屋で薄切りのゴーヤーの塩もみが突き出しに出された。まだ、ゴーヤーが全国に広まっていない時代だった。初めて口にしたゴーヤーの苦味に戸惑っていると、知人はにやりとして「ニガウリ」という呼び名があることを教えてくれた▼ゴーヤーは、東南アジアやインドの熱帯地方が原産。15世紀の琉球王朝の時代、中国を経て沖縄地方に伝わったとされる。独特の苦みが食欲をそそり、沖縄では親しまれていたが、長い間、沖縄の地方野菜にとどまっていた。大正時代に、ウリ類などを食い荒らす害虫のウリミバエが沖縄で確認され、本土でまん延しないよう沖縄からの出荷が制限されたのが影響した▼現在は沖縄で近縁種が発生して問題になっているが、大正時代に侵入したウリミバエは、国や県のプロジェクトによって1993年に根絶された。これを契機に、ゴーヤーは本土に出荷されるようになった。そして、2001年に放送されたNHKの朝ドラ「ちゅらさん」で、ゴーヤーチャンプルーが沖縄の家庭の味として登場、ゴーヤーという野菜の存在が全国に知れ渡るきっかけとなった▼ゴーヤーは、ビタミンCを豊富に含み、毎日の健康維持や栄養補給に役立つ。熱帯原産のゴーヤーには、強烈な日差しや高温、乾燥といった過酷な環境を生き抜くために蓄えられた成分もあり、暑い時期の食生活をサポートしてくれる▼ゴーヤーのほかに、よく食べている熱帯原産の野菜がオクラとモロヘイヤ。ともにアフリカ方面が原産地で、生存のためには、乾燥してしまわないよう高温による水分の蒸散を防がなければならない。このため、高い保水性を持つ水溶性食物繊維を細胞内や組織などに張り巡らせている。人にとって、このネバネバの成分は、健やかな食生活を支えてくれる。近年続く猛暑を乗り切るため、熱帯原産の野菜はとても頼りになる。

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