
舞台装飾担当
Bubbさん(69)
ステージ飾り観客の気分盛り上げる
「全ては出会いから始まるってことは、必ず別れがある。ファイナルもお客さんの気分をしっかり盛り上げたい」。糸島市志摩の芥屋海水浴場で行われるサンセットライブの、三つの舞台や会場全体の装飾を担うBubbさん(69)は、目前に迫るライブに向けて作業に余念がない。

東京で店舗や商業施設のデザイン、施工などをしながら、日本最大規模のロックフェス「フジロック」など全国各地の野外フェスの舞台装飾を手がけてきた。サンセットライブには2009年、友人を介して「森のステージ」の装飾を頼まれて以来15年間関わってきた。
「見せたいものがある」。初めて糸島を訪れた時、サンセットライブの林憲治さんに、同市志摩の火山(ひやま)に連れて行かれた。よく晴れた日で、遠くに壱岐がくっきりと見え、幣(にぎ)の浜が弓なりに延び、芥屋の大門が見えた。「ここだ」。国内あちこちを訪れ、移住先を検討していたバブさんは「昔見たような気がする」と眼下の景色に息をのんだ。サンセットライブのたびに糸島を訪れ、このまちがどんどん好きになった。18年には、同市志摩芥屋にみつけた古民家に夫婦で移住。「サンセットライブに呼ばれていなかったら越してきていなかった。越してきて本当に良かった」と充実した日々を送る。

ライブ前、林さんから渡されるのは会場の図面のみ。そこからは、長年一緒にやってきた仲間たちと、骨組みができあがった舞台や会場に装飾を施し、南国の雰囲気、心を揺さぶるリズム、ジャンルを超えた音楽、夕焼け、海辺などをどんどん表現していき「サンセットっぽい舞台」へと仕上げる。
「自分たちで創って、お客を迎え入れて、自分たちが笑顔で楽しんでそれが観客にも伝わる」。数々の野外フェスに関わってきたバブさんは「ただの音楽フェスじゃない。まさにunity、つながりをつくっている」と一目置く。
「今年がファイナル」という林さんの言葉は、すんなりと胸に落ちた。糸島ブームをリードした大役を果たし、「母なる海に還(かえ)っていく」。
90年代から日本にも浸透してきた野外で踊るカルチャー。31年前、糸島で生まれ、育ったこのライブは、当日はもとより「一緒に創り上げる仲間との打ち上げの時間も最高」。「チーム・サンセット」の最後の舞台がいよいよ始まる。