熱中症対策 前倒しで「涼み処」開設
夏本番を前に“暑い夏”への備えを強化する動きが進んでいる。糸島市は1日から、市内14カ所の公共施設を「涼み処(どころ)」(クーリングシェルター)として無料開放。当初7月1日からの予定だったが、開設を1カ月前倒した。期間も9月末までと昨年より1カ月延長し、熱中症対策に力を入れている。

国は気候変動適応法に基づき、2021年から暑さ指数(WBGT)33以上になると予想される地域に、熱中症警戒アラートを発表してきた。
昨年4月の同法改正で、一段階レベルが高い「熱中症特別警戒アラート」を新設し、運用をスタート。県内12の全ての観測所で同指数が35に達すると予測される場合、前日午後2時ごろに同アラートが発表される。


暑さ指数とは、気温だけでなく、湿度や輻射熱(ふくしゃねつ)(建物や地面などからの照り返し)を加味して算出する熱中症の危険度を示す数値。指数35以上は、過去に例がない危険な暑さにより人の生命や健康に重大な被害が生じる恐れがあり、極めて高い警戒が必要なレベルとされている。
同アラートが発表されると、市はクーリングシェルターを開放するほか、防災行政無線や市ホームページ、「情報メールいとしま」を使って市民に周知。イベントや屋外での活動などについては、十分な日陰エリアの確保や冷却施設の導入、水分・塩分補給ステーションや救護所の設置、医療スタッフの配置など適切な熱中症対策が取れない場合は中止、または延期を検討。
小中学校は原則として臨時休業とし、児童生徒が登校後に発表された場合は、屋外での教育活動を一切中止し、市教委と学校、各関係機関で対応を協議▽児童生徒は学校の冷房がある場所に避難▽必要に応じて保護者への引き渡しによる下校などを行う-としている。
昨年の糸島は、最高気温35度以上の猛暑日が計23日と、観測史上最も多かった。市消防本部によると、昨年1年間に熱中症(疑い含む)で搬送された人は、101人。うち65歳以上の高齢者が50人と約半数を占めた。
前原地点の昨年の暑さ指数については、35以上となる日はなかったが、同年8月5日正午時点の34.7を最高に、33以上となった日が25日もあった(昨年5~10月、環境省・熱中症予防情報サイトの前原地点の過去データより)。
昨年から市庁舎や各校区のコミュニティセンターなどで始まった涼み処は、期間中なら各施設の開館時間の間、申し込み不要で誰でも利用することができる。市環境政策課は「昨年は高齢者や親子連れ、散歩中の人など、多くの市民に活用いただいた」と説明する。
気象庁は、今夏(6~8月)の気温が例年に比べて全国的に高くなると予想。同課は「熱中症予防のためにひと休みしていただけますので、どなたでもぜひお気軽にご利用ください。飲み物は各自で準備を」と呼びかけている。
施設の開設時間など詳細は、市ホームページで確認できる。
(糸島新聞社ホームページに地域情報満載)