獣害対策の必要性痛感
「サルのいっぱい現れて、柿の枝を折ったり、こもうして(小さい)、青か柿ば少しかじったりして、投げ捨てとる」「タマネギばとって、屋根の上で食べて、カスば捨てとる」「イノシシが畦(あぜ)ば、ほじくり返して、ボコボコやもん」。中山間地を中心に獣害が拡大しています。今からは、スイカやメロンをはじめ、桃などの果樹を含め、アナグマやハクビシンなどが完熟期を狙って、食い荒らす時期に突入します。
私は実家の圃場(ほじょう)で、新しい活性剤などを使い、ネギの栽培の生育比較実験を行っています。6月29日(日)に無事、梅雨を乗り越え、ネギ、1,570株が順調に生育し、葉もツンっと真っすぐ伸び青々していたのを確認。今後の成長を楽しみにしていました。
翌日の30日は終日会議。1日は外勤で、午後から実験圃場の経過を観察しにいったところ、圃場が荒らされており、がくぜんとしました。ネギの株は、無残に引き抜かれ、柔らかい葉先は食い荒らされているではないですか。イノシシなどが近づきにくい対策などを施していましたし、イノシシ特有の土をデコボコに掘り起こすなどの跡は見られませんでした。では、何が起こったのか。「サルの仕業か」。確かに、近隣でサルによる農作物被害が多く出ていることを聞いていました。まさか、ネギまで食べるとは思ってもみませんでした。




調べてみると、手先の器用なサルは株を抜き取り、タマネギもネギも白い部分をひとかじりして、さらに次の株に手を付けるそうです。広範囲にわたって食い散らかされていたら、サルによる獣害の疑いがあるとのこと。今回は、白い軟白部分はそのままで、葉先をつまんで食べてしまった状態でした。ネギそのものは、果物やトマトなどの果菜類のように好んで食べる作物ではないようですが、餌が不足したり、他に餌がなかったりした場合は食べることもあるようです。
がっくりです。6月上旬、梅雨入りのタイミングで、苗定植し、途中、曇天や豪雨など乗り切って、梅雨明けの日射や高温にどれだけ生育が安定するかなど、生育観察を行う予定でした。
私は生育試験レベルでの被害ですが、プロの生産者や直売所出荷者の方などは、生活をかけて育てておられ、獣害は大きな問題だと言えます。種苗代や肥料、生育中の管理など経費をかけ、また、愛情を込めて育てた農産物が、あっという間に食い荒らされる。
トマトの実を食べるカラスやキャベツの葉を食い荒らすヒヨドリ、麦の若葉を狙うカモなどの鳥害。スイカやスイートコーンなどを狙う、ハクビシンやアナグマなどの獣害。筑豊地方では、シカによる食害も報告されています。
中山間地の耕作放棄地が拡大しているのは、生産人口の高齢化による離農もありますが、いくら栽培しても鳥獣被害に遭遇すると、生産意欲が低下してしまうのも耕作放棄地拡大の原因の一つではないでしょうか。お隣の自治体、唐津市では、サルによる農作物などへの被害を防止するために、サルの群れに発信機を装着して、位置情報を市民の方に発信されているとのこと。増え続けていると推測される野生動物の個体数。糸島の主産業、農業を鳥獣被害から守るためにも、何か対策案が必要だと痛感させられました。鳥獣害対策は、いっきに解決する問題ではありませんが、今後、懸念される、高温乾燥による自然界の生態系変化を含め、市民一体となって考えていく必要があるのではないでしょうか。
(シンジェンタジャパン・アグロエコシステムテクニカルマネジャー 古藤俊二)
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