九大と連携、健康寿命延伸へ
糸島市は、「免疫」を軸にした産学官民連携の取り組み「いとしま免疫村」を、九州大学の協力を得て、本格的に始動させた。市の健康増進計画「健康いとしま21」によると、糸島市民の健康寿命は現在、男性81.3歳、女性85.3歳。市は免疫村の取り組みなどを通じて、2030年度までに男性82.7歳、女性86.3歳への引き上げを目指す。

来月20日にイベント
「いとしま免疫村」は市全域を舞台に、市と大学、企業、市民が連携して「市民の免疫力を整え、健康づくりにつながる活動を行う」コミュニティ(関係性)の呼び名。免疫機能の向上は感染症予防にとどまらず、生活習慣病の予防にも効果があるとされ、年齢や性別を問わず全世代の健康に関わる仕組み。
コロナ禍を経て、病気にかかりにくい身体づくりへの関心が高まったことから、暮らしの中で自然と健康につながる環境を地域全体で整える「0次予防」の推進を掲げる。
月形市長は「市民の健康寿命を伸ばすまちづくりは、私の公約の柱の一つ。産学官民の研究成果を0次予防として市民の健康づくりに還元し、糸島モデルとして確立したい」と語る。
また九州大学では、4月1日付で学内に分野横断型の研究グループ「未来社会共創ヘルステック研究ユニット」を設置。研究ユニットは、工学、農学、医学、歯学など複数の研究院に所属する九大の研究者13人で構成。市が保有する保健医療情報をもとに免疫と健康の関係を科学的に解明するなど、「いとしま免疫村」を中心として、データ駆動型の分野横断的な研究を推進する。
今年度着手する研究テーマは二つ。一つ目は、運動と免疫機能の関係を調べる実証研究。市の健康教室の参加者に対し、運動・姿勢・心理の多面的なアプローチによるプログラムを実施し、その効果を評価する。
評価項目の一つとして免疫抗体(唾液IgA)を用い、運動によって免疫がどのように変化するのかを数値で見える化する。
性別や年代、生活習慣ごとにデータを分析し、一人ひとりに合った健康モデルの構築を目指す。九大との間で詳細な研究設計を詰めている段階で、今年度から来年度にかけて実施する。
二つ目は口腔環境と全身の健康に関するデータの分析。歯周病は単なる口のトラブルではなく、全身の免疫を疲弊させ、糖尿病や心疾患といった生活習慣病のリスクを高める要因とされている。
市が10年間にわたって蓄積してきた歯周病検診データと医療・介護レセプトデータ(保険の利用状況を記録したデータ)を突き合わせ、口腔環境が全身疾患や医療費に与える影響を明らかにする。
研究は、段階的に拡大し、28~29年度には対象を1,000人規模に広げて本格的な実証に移行する。将来的には、健康に関心の薄い層へのアプローチ強化や、市内企業・事業所と連携した働く世代の健康づくりへの展開も見据えている。
もう一つの柱である糸島ブランドの価値向上では、糸島産の農林水産物や加工品について免疫効果の研究を見据えている。科学的な裏づけが得られれば、域外への販路拡大やふるさと納税の訴求力強化にもつながる。
6月20日午前10時から、伊都文化会館で「いとしま免疫村フェスティバル」を初めて開催する=写真はチラシ。キャッチフレーズは、「免疫のヒミツを知ろう」。「食」と「運動」をテーマに芥屋産ふともずくや発酵食品の試食・販売をはじめ、eスポーツや親子リズム体操など、世代を問わず楽しめる企画が並ぶ。

注目は最先端技術を用いた健康チェック。唾液から免疫バリアの状態を測定するなどの体験コーナーを設け、手軽に健康チェックができる。九大教授陣による「ヌメ活」などをテーマにしたミニ講話も予定されており、免疫の仕組みをわかりやすく学べる。
ユニークなのが「ぬかリンピック」。自慢のぬか床を持ち寄って、風味など優良なぬか床は表彰する。
入場無料。問い合わせは、市学研都市づくり課=092(332)2079まで。
(糸島新聞社ホームページに地域情報満載)
