朝起きての習慣に、抹茶を味わうことが加わった。茶せんなど専用の道具でたてるのではなく、使うのはプラスチック製の小さなシェーカー。容器の中に水と抹茶を入れてふたをし、リズミカルに上下に振る。ほどよく泡立ってくると、抹茶を茶わんに注ぎ、熱湯を注ぎ足せば、気軽に温もりのある一服を楽しむことができる▼抹茶を飲むようになったのは健康づくりのため。煎茶もよく飲むが、同じお茶でも大きな違いがある。抹茶は茶葉を微粉末にひき、水やお湯に溶いて飲む。一方、煎茶は茶葉にお湯を注ぎ、成分を溶け出させて飲む。煎茶は茶殻を捨てるが、抹茶は茶葉をそっくり口にし、水やお湯に溶けない栄養分も余すことなく摂取できる▼抹茶には、上品なうまみも含まれる。それをもたらしているのがテアニンという成分。テアニンは、茶葉が日光を受けると、苦味成分のカテキンへと変化していくという。このため、テアニンが失われるのを防ぐため、抹茶の原料である「てん茶」は収穫前、シートで覆い、日光を遮って栽培するという▼ただ、程よい苦味がある抹茶には、カテキンも、しっかりと含まれている。カテキンは、体の老化につながる成分を打ち消す抗酸化作用があるとされる。近年では、米国をはじめ、世界で注目を集め、抹茶ラテやスイーツが大ヒットし、「MATCHA」という言葉が通じるようになっている▼こうしたブームにより、抹茶を含む緑茶の輸出が著しく伸びている。財務省の貿易統計によると、2025年度の緑茶の輸出額は、前年度の2倍となっている。ただ、とても気がかりなニュースが併せて流れて来る。全国トップのてん茶の生産量がある鹿児島県で今月行われた取引会で、てん茶の平均価格が昨年の1.8倍になったという。抹茶がどんどん足りなくなり、値段が上がっていく。こうした事態は煎茶にも波及する。煎茶から、てん茶への生産転換が進むことで、煎茶の供給に影響が出て、価格が上がっているという。緑茶が身近な存在であり続けるためには、こうした構造的な課題の解決が急務となっている。
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