NYの県出身指揮者 九州大で講演し対談

海外で活躍する心構えとは

 米国・ニューヨークで指揮者として活躍する県出身の伊藤玲阿奈さん(44)の特別講演会が7月29日、福岡市西区の九州大学椎木講堂で開かれた。県宅地建物取引業協会福岡西支部女性部と流通促進委員会が主催。


 「これから世界で羽ばたくみなさんへ」と題した講演では、在米26年目の経験をもとに、日米の就職活動や仕事に対するスタンスの違いについて「履歴書に形式がない。いかに仕事に適した能力を持っているかをアピールするだけ。そもそも新卒に対応する英語がない」など具体的に紹介。「自分の意見を論拠を持って伝える、自分を卑下せず明るく笑顔で人に接するなど内面を磨いてこそ活躍ができる」と力を込めた。


 音楽家として快進撃を続けていた時、一転して大きな挫折をした経験も。「10年、20年の人生の単位では、目の前の出来事について成功失敗、いい悪いをすぐに決めつけないこと。幸せになるとは今の生活が幸せなんだと気付くということ」と、時に声を詰まらせながら語りかけた。

学生らの率直な質問に真摯に向き合い答える伊藤玲阿奈さん(左端)


 後半は、地元の大学生や高校生など5人と白熱した対談を繰り広げた。「これまで積み上げてきたものとは別に、飛び込んでみたい世界ができた。就職活動に悩んでいる」という学生には、元々外交官を目指していたという自身の経験をもとに「それぞれのやり方でその世界とつながっておくことが大事」と深く共感を示した。


 登壇した九州大学理学部3年の中村啓人さん(21)は「今ある小さな幸せに目を向け気づいていないのはもったいない。足るを知ることの大事さに気付くことができた」と話した。

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