水辺に立つ足長の貴婦人/セイタカシギ
チドリ目セイタカシギ科。体長37センチですが、足がとても長くて体より足の方が長く見えるほど。シギの名がついていますが、ツルの仲間のようなほっそりした外見をしています。
シベリアなどで繁殖し、冬期はフィリピン、ボルネオなど南の国々で越冬します。移動の途中にわが国を訪れる珍しい旅鳥です。糸島市では加布里湾に面した畑地の外れにある湿地で、餌を探す姿が見られることがあります。私は幸運にも弁天橋袂(たもと)のクリークでその姿を目にし、鳴き声を録音することができました。
鳴き声は、やや濁った声で「ケッ、ケッ」とか「キッキッ」と一声ずつ区切った短い声で鳴いていました。時には「ピューイ、ピューイ」や「ホイーッ、ホイーッ」と鳴くこともあると言われています。繁殖期とそうでないとき、また警戒時や仲間とのコミュニケーションで鳴き声は変化しますから、こんな声で鳴くと断定するのが難しいのが野鳥の鳴き声です。
食性としては、カエルやオタマジャクシ、カエルの卵、トカゲ、小魚、水生昆虫、小さな貝類など動物質のものをおもな餌としているようです。ともあれ、水辺に立った貴婦人を思わせる美しい姿に一度出会うといっぺんに魅了されてしまう鳥。それがセイタカシギです。 (野鳥録音家)
セイタカシギの鳴き声
(野鳥録音家・田中良介)