「行々子」と水辺をにぎわし/オオヨシキリ
スズメ目ウグイス科で体長18・5センチ。農業用ため池や、流れの緩い川、池、沼、湖など淡水の水辺に生えるアシの群落に、5月初めに渡って来て繁殖する夏鳥です。「ギョシ、ギョシ、ギョシ、ギョギョシ、ギョギョシ」と大声でさえずります。一節の終わりに「ゲゲ」と言う声が入ることもあります。鳴き声から「行々子」と呼ばれて俳句の季語として多くの俳人に親しまれる鳥です。「行々子口から先に生まれたか」。小林一茶の句は有名です。
体のほとんどの部分は明るい灰色がかった褐色で、目立つ模様や斑が無いので、アシの繁みの中では目立たないのですが、それでもさえずる時はアシの穂先に近いところで茎を足の指でつかみ、体をほぼ直立した状態にして大口をあけて長く鳴くので、目がなれると姿を見ることができます。
朝早くから夜まで大きな声で鳴き続けるので、そのスタミナは何処から来るのかと感心してしまうほどです。この鳥がこのようににぎやかに鳴くのは子育てが終わる8月初旬までで、お盆の頃まで鳴くことはほとんどありません。オオヨシキリに似た鳥で「コヨシキリ」がいます。同じアシ原で共生していることが多いのですが、コヨシキリのほうは高い山の草原で繁殖することもあり、私自身は阿蘇の大観峰に近い草原でコヨシキリの鳴き声を録音したことがあります。
オオヨシキリの鳴き声
(野鳥録音家・田中良介)