長糸校区 集落ぐるみで取り組み
糸島市長糸校区の本行政区で、野生鳥獣被害対策の一環として、実をつけ始めたビワなど未利用となっている放任果樹の伐採作業が行われた。近年は全国各地でも、クマを人里に引き寄せる要因になるとしてカキの木の伐採が進められるなど、放任果樹の整理は鳥獣被害対策として広がりを見せている。

同地域では特にサルによる被害が深刻で、2025年8月には住民らが野生サル対策を求める要望書を市へ提出。11月にはサル対策の基礎知識を学ぶ研修会を開き、地域と行政が連携した対策が始まった。同地域は野生鳥獣被害対策のモデル地区にも位置付けられている。
対策の柱の一つが、サルを集落に寄せ付けないための餌場をなくす取り組み。集落内で収穫されずに残されたビワやカキ、ミカンなどの放任果樹を伐採したり、強剪定(せんてい)したりして、生息環境の管理を進めている。
作業に先立ち、住民らは集落内を歩いて放任果樹の場所を確認。所有者の許可を得るなど、事前に細かな打ち合わせを重ねながら準備を進めてきた。
作業が行われた4月29日に、区長の加茂周二さん(80)をはじめ、行政区役員など地元住民と市担当課職員ら計7人が参加。畑沿いの斜面に立つビワの木の伐採に取りかかった。
豊かに小麦が実る畑沿いの山際には、ビワやカキ、クリが新緑の枝を伸ばす。根元を切っても途中で周囲の木に引っかかる場面もあり、作業者たちは枝を落としたり、樹冠に絡んだツルを切ったりしながら慎重に作業を進めた。青々とした実をつけた樹高約10メートルのビワが倒れると、その陰に隠れていた別のビワの木も姿を現し、続けて伐採した。
地域では一部住民が自宅敷地内などの放任果樹の整理を進めているものの、高齢者も多く「伐採まではなかなかしきらん」。農作業の忙しさから手が回らないケースも少なくない。
加茂区長は「今回は実を付け始めたビワを優先して伐採した。今後はカキやミカンなどにも対応していく必要がある」と汗をぬぐった。
集落ぐるみで進む今回の取り組み。その背景には、担い手の高齢化という課題も横たわる。野生鳥獣被害を防ぐだけでなく、集落環境を維持していく上でも重要な活動だが、伐採作業には危険も伴う。継続的に進めていくためには、行政を含む地域の力を結集した、多角的な支援体制が求められる。
(糸島新聞社ホームページに地域情報満載)
