糸島高が「糸高志学」公開

文科省研究指定校事業の一環

 教科横断型カリキュラムとして総合的な探究の時間で糸島高校(荒木礼子校長)が実施している「糸高志学」の授業が、文部科学省の「創造的教育方法実践プログラム」にかかわっている教育関係者に公開された。授業の後、関係者は、生徒たちが創造的な思考力を身につけるための新しい教育方法について、それぞれの専門的な立場から助言を行った。

 糸高志学は、生徒たちが主体的に身の回りにある課題を見つけ、問題解決を図っていく授業として始まり、本年度で7年目。糸島市役所の協力を得るなどしながら、生徒たちは興味関心のあるテーマについて3年間を通して探究を深めている。

 同高が昨年度、文科省の同実践プログラムの研究指定校となったのを受け、糸高志学もプログラムの柱の一つとなり、新時代に対応したカリキュラムを開発する実践的な授業になっている。

 この日公開されたのは2年生による中間発表で、15の教室で行われた。生徒たちは4人程度の班に分かれ、班ごとに情報収集や討論を重ねてきた成果を発表した。

「糸高志学」での成果を発表する生徒たち

 この中で、糸島市に空き家が多く、建物の老朽化が進んでいる地域課題に取り組む生徒たちは、空き家を観光客の宿泊施設として活用することを提案。市内を訪れる観光客の大半が日帰り観光客であるデータを示し、宿泊者を増やすことにより、より多くの観光収入が得られるとの内容を説明した。

 授業を見学して助言したのは同プログラム運営指導委員を務める大学の研究者や県教委職員、地元の識者などオンライン参加を含めて12人。

 生徒たちのテーマに「地域」の課題を探究したものが多いことについて、さまざまな意見が出た。「全体的に、糸島についてのことが多い。生徒たちが本音の自分と向き合い、純粋にやりたいことを探究していくようにすべきではないか」との指摘があった。一方、同高と同市が一緒になって活性化し合っていく関係性を重視し「糸島高校は地域性を持った教育をしており、こうした地域共創型の高校は必要」との意見が出た。

 荒木校長は「生徒には、考えてみる過程のおもしろさを感じてほしい。糸高志学で学んで得た見方、考え方を思考の原点にしてもらいたい」と話していた。

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